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名古屋高等裁判所 昭和50年(行コ)17号 判決

控訴人(原告) 神野哲久

被控人(被告) 津島税務署長

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取消す。本件を名古屋地方裁判所に差戻す。」との判決を求め、被控訴指定代理人は、主文同旨の判決を求めた。

当事者の主張及び証拠関係は、左記のとおり付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを援用する。

(控訴代理人の主張)

民法、民事訴訟法、刑事訴訟法は、いずれも国民の権利保護、権利救済の立場から、期間計算につき、初日不算入を原則としているところ、同じく国民の権利救済の制度である行政事件訴訟法が、同法一四条四項所定の出訴期間について、出訴者に不利益となる初日を算入する旨を規定したものと解すべき実質理由は見出しえない。

原判決が例示する国会法等の規定は、それぞれの立法目的に従い初日を算入することとしたものであり、行政不服審査法一四条一項、四五条が特に初日不算入の趣旨を明示しているのは、同法には民事訴訟法の準用規定がないことによるものであつて、「起算する。」との語句があつても、行政事件訴訟特例法五条四項の場合におけると同様、行政事件訴訟法一四条四項の場合も、「裁決があつたことを知つた日又は裁決の日」を算入すべきでないと解するのが相当である。

(証拠関係)〈省略〉

理由

本件については、当裁判所も控訴人の本訴請求を不適法として却下すべきものと認めるものであるが、右についての事実認定及び法律上の判断は、いずれも原判決の理由に記載のとおりであるからこれを引用する。当審における控訴人の主張立証によつても、もとより右の判断を左右するに足りない。

よつて、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 植村秀三 上野精 大山貞雄)

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